ケイ酸カリ肥料の溶解性と肥効について
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概要
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ケイ酸カリ肥料の主要な結晶性化合物であるKMSとKAFS_2を合成し、また、ケイ酸カリ肥料の原料に水酸化マグネシウムを添加した製品を試作し、これらの溶解性と肥効について検討した。1)合成化合物KAFS_2中のカリウムおよびケイ酸は、2%クエン酸にはよく溶けたが、弱酸性溶液であるクエン酸アンモニウム液には溶けにくかった。これに反し、KMS中の両成分は、いずれの溶液にもよく溶けた。2)ハクサイの乾物重およびカリウム吸収量は、KMSで高く、KAFS_2で低く、クエン酸アンモニウム液に対する溶解性と密接な関連が認められた。また、水稲の乾物重ならびに地上部のケイ酸含有率もKMS>KAFS_2>高炉鉱さいの順であり、クエン酸アンモニウム液に対する溶解性とほぼ一致する傾向にあった。3)ケイ酸カリ肥料の製造においてマグネシウムの添加量を多くするとKMSの生成を増加させることができ、製品中のカリウムやケイ酸のクエン酸アンモニウム液に対する溶解性が増加した。4)ハクサイおよび水稲の乾物生産はマグネシウムの添加量の多い試製肥料で増大した。かつ、ハクサイのカリウムおよび水稲のケイ酸の吸収は、マグネシウム添加量の多い試製肥料で著しく増加した。5)以上の結果から、作物に利用されやすいケイ酸カリ肥料を製造するには、焼成品中の結晶性化合物の一つで、クエン酸アンモニウム液に可溶のKMSをなるべく多く生成させることが重要といえる。そして、ケイ酸カリ肥料中のマグネシウム含有率(MgO)を5~9%程度にすることが適当と推定された。
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1988-10-05
著者
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