水田における耕起方法の違いが小型ミミズ類の生息密度に及ぼす影響
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概要
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水田における耕起が小型貧毛類の生息密度の季節変動と垂直分布に及ぼす影響について,オ・コーナー法を用いて定量的に調べた.1)ヒメミミズ類の生息密度の季節変動について調べた.ヒメミミズ類は湛水前の6月にピーク密度となり,湛水するとほとんど見られなくなった.その後は落水すると出現し,冬季期間は一定密度を示した後,4月以降は湛水直前まで再び個体数が上昇した.また分散分析の結果,耕起の違いは生息密度には影響しなかった.2)ヒメミミズ類の垂直分布について調べた.耕起を行うことで,年間を通して下層にヒメミミズが分布することが明らかとなった.季節変動では,耕起区において,春や秋に比べ,冬季は深い位置に分布することが示された.3)落水時において,株跡と株間のヒメミミズ類の生息密度を深度15cmまで調べた結果,処理区間に違いが見られなかった.このため,1年を通じてヒメミミズ類のサンプリングを行うためには,株間で土壌を採取することが適当と考えられる.4)水棲貧毛類は,水田の湛水期間中に出現した.不耕起区の方が,生息密度は高かった.種類はミズミミズ類が優占した.ミズミミズ類の垂直分布を見ると,0〜5cmに大部分が出現した.
- 2002-02-05