イネの開花期冷温処理による不稔 : 第3報 花粉の人工発芽法の確立
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概要
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イネ花粉の人工発芽は1919年以来多くの報告がある. しかし, 発芽率が低い場合や同じ培地でも発芽率の変動が大きい場合もあり, その再現性についても十分検討されていない. 本報では下記の方法により高発芽率でしかも再現性の高い人工発芽(発芽率80%以上, 標準偏差10%以下)に成功した. (1) 培地の組成: 1%寒天, 20%しょ糖, 20PPmホウ酸(第1〜4表), (2) 発芽容器: 直径4.5cmシャーレ, (3) 培養温度: 20℃前後, なお, 18℃以下あるいは24℃以上では発芽率が低下する(第1図), (4) 花粉の培地への置床: 開花後できるだけ早い時期に, 穎花から葯をピンセットで採取し, シャーレの縁に軽くたたいて葯内の花粉を直接培地に置床する. 従来の方法に比べ, この方法で安定した高発芽率が得られるようになった主因は, 培地にホウ酸(20 ppm)を添加したこと, 培養の適温を発見したこと, および確実に新鮮な花粉を供試したことである. 上記の最適条件で花粉発芽の経時変化を観察した結果, 置床後2-3分で発芽しはじめ(第2図), およそ20分で発芽率は最大に達した(第2, 3図, 第5表). その時の花粉管の伸長速度は7.5μm・min^<-1>であった(第5表).
- 日本作物学会の論文
- 1989-03-05
著者
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