イネの開花時刻の人工制御 : 第1報 予備的実験
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概要
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イネの開花時刻を人工的に制御する目的で若干の予備的な実験をおこなった. 正常な開花時刻に先だつ1時間の暗黒処理はあきらかに開花時刻をはやめた(条件により2時間以上). しかし,この開花促進には若干の葯不裂開がともなっていた. 昼夜変温条件(29/21℃)は恒温条件(25/25℃)よりも促進に有利であった.30分あるいは2時間以上の暗黒処理も促進効果があった. 連続光あるいは連続微光条件はつぎのように開花時刻に影響した: 1. 開花のピークが低くなり,分散が増加して連続的に開花するようになった: 2. 開花時刻のピークが若干促進され,あるいは遅延した: 3. しかし日周リズムは部分的に維持され,ことに変温条件下で顕著であった. この日周リズムはすくなくとも7日間維持された. 開花は連続光の第2日目(ときには第3日目にも)につよく抑制された. 他方連続微光にはこの抑制がはとんどみられなかった. 以上の結果はイネの花の開花が,光および温度の日変化にもとづく日周性によって制御されていること,および光,温度の一時的変化は一時的にこの日周性を変化させうることをしめしている. しかし,この制御のメカニズムをあきらかにするにはいたらなかった.
- 日本作物学会の論文
- 1981-03-15