口腔由来 Prevotella intermedia のβ-lactamase 遺伝子に関する研究
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概要
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本研究ではPrevotella intermedia (P. intermedia)のβ-lactam薬耐性機構を明らかにするため, その主体であるβ-lactamase遺伝子の解析を行った.口腔癌切除後の患者唾液から細菌を分離し, 42株のP. interemediaを同定した.これらのβ-lactamase産生性およびβ-lactam薬の最小発育阻止濃度をそれぞれ測定した後, 供試菌株としてβ-lactamase産生・β-lactam薬耐性(β-lac産生・耐性)12株とβ-lactamase非産生・β-lactam薬感受性12株を選択した.そして, グラム陰性桿菌由来β-lactamase遺伝子のブライマー12種を用いてPCRにより遺伝子の検索を行った.各PCR産物を大腸菌へ導入し, さらにβ-lac産生・耐性株3株においてCfxA2のブライマーで得られたPCR産物を大腸菌に導入した.β-lactam薬に対する耐性が最も高かった1株に対してCfxA3のプライマーを用い, 同様に導入した.また, その1株においてCfxA 2ブライマーで得られたPCR産物の塩基配列を決定し, 既報のβ-lactamase遺伝子と比較した.β-lac産生・耐性株にのみ所定の大きさで単一のバンドがみられたフライマーはCfxA 2とCfxA 3, そして所定の大きさを含む複数のバンドあるいは所定以外の大きさのPCR産物がみられたものはKoAmpCA, SfTEM, KpCAZおよびAbOXA21であった.各種ブライマーで得られたPCR産物を大腸菌に導入したが, β-lactam薬耐性は示さなかった.CfxA2のPCR産物の塩基配列は, CfxA 2とCfxA遺伝子ともに99%以上の相同性が認められ, β-lactamaseとしてのモチーフ領域も一致していたが, CfxA 2とは2か所, CfxAとは3か所で塩基の変異を生じていた.以上のことから、本研究に用いたβ-lac産生・耐性株にはCfxA 2とCfxA 3に類似した遺伝子が存在し, この遺伝子が菌種間で伝播しているものと考えられる.また, 遺伝子導入した大腸菌が耐性を示さなかった理由として, 本遺伝子の塩基配列が変異し不活化を生じたこと, あるいは菌種特異的な発現系が存在することが考えられる.
- 大阪歯科学会の論文
- 2005-03-25
著者
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