Prevotella intermedia ATCC25611と33563 homology groupの口腔内分布および病原性状
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Prevotella intermediaは口腔常在菌叢の構成菌であり, 種々の口腔感染症からも高頻度に分離される偏性嫌気性グラム陰性桿菌である. Johnsonらは, P. intermediaにはATCC25611と33563 groupの2つのhomologyがあることを明らかにしているが, 口腔内から分離されるP. intermediaの2つのhomology groupの分布は, 研究者によって異なる. 最近, 口腔感染症から分離されるP. intermediaにはβ-lactamase, DNase, hyaluronidase, collagenase, lecithinaseなどの病原酵素を産生する菌株が数多くみられることが多々見, 寺岡ら, 吉田らおよび佐々木らによって報告されている. すなわち, 慢性と急性の根尖性歯周炎, 蜂巣炎の症例と, 対照とした口腔常在菌叢から分離した細菌のβ-lactamase, DNase, hyaluronidase, chondroitin sulfatase, collagenase, lipase, lecithirase, trypsin, chymotrypsinおよび粘性物質産生性を比較したところ, 前述の酵素産生菌の比率は, 蜂巣炎, 急性根尖性歯周炎, 唾液および歯垢の順で高く, P. intermediaが有する病原酵素が直接的病原因子として疾患の増悪化に寄与していると考えられる. 本研究では, P. intermediaのATCC25611と33563 groupのいずれのgroupが疾患病巣内でどの程度病原的な役割を果たしているのかを明らかにするために, 2つのhomology groupの口腔内分布と病原性状を比較した. 得られた結果は以下のとおりである Indole産生性とAPI ZYM systemによる酵素活性パターンからP. intermadiaと同定したほとんどの菌株は, 2つのhomology groupのいずれかに属した. 根尖性歯周炎, 蜂巣炎および口腔常在菌叢から分離したP.intermediaではATCC 33563 groupが優勢であった. また, 歯周ポケット由来株では, ほぼ同数であった. 22例の被験者のうち, 50%から両groupのP. intermediaが分離された. これらの結果および従来の報告から, 被験者や口腔部位によってその比率は異なるが, 両groupとも口腔内に広く分布していると考えられる. 両groupの菌体表層構造をnegative染色で観察した結果, ATCC 25611 groupでは, typeA, ALと線毛構造をもたない菌株とがみられたにすぎなかったが, ATCC 33563 groupでは, 上記の構造とともに種々の菌体表層構造をもつ菌株がみられた. SDS-PAGEによる菌体タンパクは, ATCC 25611 groupの菌株ではATCC 25611と, また, ATCC 33563 groupの菌株では, ATCC 33563と類似の泳動パターンを示した. 両groupの菌株とも, β-lactamase, DNase, lipase, lecithinase, hyaluronidase, chondroitin sulfatase, collagenaseおよび粘性物質のいずれかを産生した. これらの酵素のうちDNaseは, 口腔常在菌叢を含む口腔部位から分離した両groupのP. intermediaによって普遍的に産生されたが, β-lactamase, hyaluronidaseおよびchondroitin sulfatase産生菌は, 両groupとも蜂巣炎から分離した菌株にみられた. それゆえ, これらの酵素を産生するP. intermediaの両groupは疾患の増悪化に関連する可能性が示唆される.
- 大阪歯科学会の論文
- 1993-08-25
著者
関連論文
- 超音波スケーリングに関する研究 : ポビドンヨード水溶液併用について(第2報)
- Prevotella intermedia ATCC25611と33563 homology groupの口腔内分布および病原性状
- Prevotella intermedia ATCC25611 と 33563 homology group の口腔内分布および病原性状
- 6 Prevotella intermedia ATCC 25611 と33563 homology group の口腔内分布および病原性状 (例会抄録(第422回))