リン酸カルシウム系結晶化ガラス・クラウンの力学的挙動に関する研究
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概要
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リン酸カルシウム系結晶化ガラスをはじめとするキャスタブルセラミックス材料は金属のような塑性変形によって過大な応力集中を緩和する機構を備えていない. したがって, 歯冠修復物として口腔内で十分な機能を営むためには, クラウン内における局所的な応力集中を可及的に避けるような力学的配慮が必要である. そこで, 荷重下における結晶化ガラス・クラウン内の力学的挙動を把握することを目的として, 荷重の部位および方向, クラウン辺縁部の厚さ, 支台築造材料および合着セメントの種類を変えた条件下で有限要素法による応力解析を試みるとともに, 結晶化ガラスの支台築造材料に対する接着強さについて検討した. 1)水平荷重時にクラウン内に生じた応力は垂直荷重時の場合より大きく, 荷重側のクラウン内面には引っ張り応力が発現した. 2)クラウン辺縁部の厚みが増大すれば, クラウン内に生じた応力は減少したが, 修復歯全体の曲げ変形は大きくなった. 3)クラウン内に生じた応力分布傾向は支台築造材料の種類によって異なった. すなわち,天然歯支台に比べ, 金属支台では荷重直下のクラウン内の限局した部位に, またコンポジットレジン支台ではメタルポスト部に応力が集中した. 4)乾性セメントで合着した場合,荷重直下のクラウン内面および頬側および舌側の外側面に強い引っ張り応力が生じた. 5)結晶化ガラスと支台築造材料との接着強さは, コンポジットレジンより合金のほうが, また結晶化ガラス面にプライマー処理を行ったほうが良好であった. 以上の結果から, 結晶化ガラス・クラウンが長期間口腔内で機能を発揮するためには剛性の大きな支台築造材料を用い, クラウンと支台築造材料との複合一体化を図ることが望ましい.
- 大阪歯科学会の論文
- 1993-08-25
著者
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