ヒト舌扁平上皮癌に対するモノクローナル抗体の作製および免疫組織化学的特性
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概要
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舌癌のマーカー物質を開発するために, 電気細胞融合 (E) 法を導入したモノクローナル抗体 (MoAb) の作製法について検討した. ヒト舌癌由来のTca 8113培養細胞およびパラフィン包埋ブロックより調製したヒト舌癌組織ホモジネートをそれぞれ抗原とし, 従来法であるポリエチレングリコール (PEG) 法とE法によるMoAbの作製法について比較した. E法はPEG法に比べて融合効率が10倍以上であり, ハイブリドーマ形成数, コロニー形成数, および舌癌組織切片反応陽性数などの面で前者のほうが優れていることが判明した. 今回の免疫組織化学的研究には舌癌組織を抗原として, PEG法により作製したP53, P54およびE法により作製したE8 MoAbを使用した. MoAbのクラスはいずれもIgMであり, L鎖はk鎖であった. E8による免疫染色が, 過ヨウ素酸酸化により阻止されたことから, E8認識の抗原決定基は糖鎖であることが明らかとなった. P53およびP54の対応抗原は, 過ヨウ素酸やペプシンあるいはトリプシン処理に抵抗性があり, 後二者により顕著なunmasking効果を示した. P53は分子量が40-68kDa範囲にある多重バンドを認識し, そのいくつかは抗サイトケラチン抗体 (KL1, PKK1およびPKK2) の認識するバンドと一致した. これらのことから, P53対応抗原はサイトケラチンであることが推察された. 正常舌上皮では, P53はほぼ全層の細胞質を, P54は下部上皮層の細胞膜を, そしてE8は角質層を除く上部上皮層の細胞膜をそれぞれ認識していた. いずれの抗体も高分化型の扁平上皮癌と強く反応し, 腫瘍のマーカーとして有用なことが明らかとなった.
- 1992-08-25
著者
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