食物の性状がラット咀嚼筋神経筋接合部におよぼす影響について
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概要
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哺乳類骨格筋の神経筋接合部は筋線維の収縮性の違い, 発育過程などによってその構造が著しく変化することが報告されており, 近年筋機能と神経接合部の形態との関連が論じられている.そこで本研究は筋機能を減弱させる目的で粉末飼料を与え, 固形飼料群と神経接合部の形態・分化発達に関して比較検討した.実験動物はStd系Wistarラット雄60匹を用い, 固形飼料群と粉末飼料群とに分け, 実験開始を2週齢とし両群ともに3, 5, 7, 12, 15, 20の各週齢まで飼育した.実験終了時3%グルタールアルデヒド含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.3)にて固定後, 2%四酸化オスミウムにて1時間後固定を行い, 60℃, 8N塩酸に最長30分間浸漬させた.その後通法どおりに脱水, 乾燥, 蒸着を行い, 日立S-4000走査型電子顕微鏡にて観察した.形態計測として, 神経筋接合部の後シナプスひだの数, その長さと幅の比(L/W)を計測し, シナプスひだの形状を表わす指標として, L/W<2をpits, 2<L/W≦5をshort slits, 5≦L/Wをlong slitsと大別した.固形飼料群ラットでは, シナプスひだの数は生後3週齢までに急激に増加し, 生後5週齢から7週齢の期間にpit状のシナプスひだが有意に減少し, slit状のシナプスひだが有意に増加した.一方, 粉末飼料群ラットでは, シナプスひだの数はびまん性に増加し, 生後7週齢から12週齢の期間にpit状のシナプスひだが有意に減少し, slit状のシナプスひだが有意に増加した.本研究で咀嚼筋の神経筋接合部の三次元的表面構造を明らかにした.また, 粉末飼料で飼育した場合, 神経筋接合部の発達は固形飼料で飼育した場合に比べて遅れており, 筋機能の減弱が神経筋接合部に影響を与えることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 2000-03-25
著者
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