β-Lactam 薬によるヒト口腔由来7種 Prevotella β-lactamase の誘導
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概要
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ヒト口腔から Prevotella は高頻度に分離され, ある株はβ-lactamase を産生する. これら β-lactamase 産生株における本酵素のβ-lactam 薬による誘導性を明らかにするために本研究を行った. 菌株は閉鎖性膿瘍内容物から分離された Prevotella (P.), P. intermedia TO126, P. nigrescens TO121 (Pn121), P. nigrescens TO167 (Pn167), P. melaninogenica TO 130 (Pm130), P. buccae TO172, P. loescheii TO128 (Pl128), P. corporis TO175 (Pc175) および P. oris TO177を用いた. 供試菌株に対する imipenem (IPM)を除くβ-lactam 薬 (ampicillin; ABPC, piperacillin, cephalexin; CEX, cefmetazole; CMZ, latamoxef; LMOX および aztreonam; AZT) の最小発育阻止濃度 (MIC, 接種菌量 1O^6 CFU/ml)は, 32〜 > 1,024μg/ml であった. IPM の MIC は Pn167 では > 32μg/ml と高かったが, 残りの菌株に対する値は0.5〜2.0μg/ml であった. 供試菌のβ-lactamase 活性を分光光度計で測定すると, その活性は基質 CEZ のとき0.002〜0.046, 基質 ABPC のとき0.010〜0.276U/mg protein (培養15時間)であった. 供試β-lactam 薬の誘導比 (β-lactam 薬添加時の酵素活性/β-lactam 薬無添加時の酵素活性)が高い薬剤は, 供試全菌株で認められた. β-Lactam 薬の誘導能は, CMZ, LMOX, および CEX で高かった. とくに, CMZ は Pn121, Pl128と Pm130の β-lactamase を, LMOX と CEX は Pc175の同酵素を強く誘導した. 以上の事実は, 嫌気性グラム陰性桿菌の Prevotella においてβ-lactam 薬によるβ-lactamase の誘導が生じることを示唆している. さらに, 本酵素の産生性と誘導性はβ-lactam 薬の MIC の上昇に関与しているものと推定される.
- 大阪歯科学会の論文
- 1999-03-25
著者
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