アパタイト平板の表面性状とタンパク質吸着様相
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概要
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アパタイト平板のタンパク質吸着実験への使用の可否を知る目的で市販の焼結アパタイト平板と結晶化ガラス上に合成した合成アパタイト平板の表面性状および吸着タンパク質の吸着様相について検討を加えた. アパタイト平板の表面性状は, 結晶性, 表面形態, 表面化学組成, ゼータ電位および接触角について実験を行った. アパタイト平板へ吸着させるタンパク質は酸性タンパク質としてヒト血清アルブミン, 塩基性タンパク質としてサケプロタミンを使用した. タンパク質のアパタイト平板への吸着様相を, タンパク質溶液中のアパタイト平板のゼータ電位の測定から明らかにした. 焼結アパタイト平板は, X線回折ピークがシャープで, 表面形態も平滑であり, X線光電子分光分析(ESCA)のカルシウムおよびリンのスペクトルも固有のピーク形態を示した. 一方, 合成アパタイト平板は, X線ピーク強度が弱く, 層状構造を呈し, ESCAピークも複合形態を示した. 両アパタイト平板ともに, ゼータ電位は, 粉末合成アパタイトと近似した値を示し, 接触角はヒトエナメル質と近似した値を示した. タンパク質濃度別のアパタイト平板のゼータ電位は, タンパク質濃度増加に伴い上昇したが, 飽和吸着には, 粉末合成ハイドロキシアパタイトよりも低濃度で達した. また, 飽和吸着時のゼータ電位は, それぞれのタンパク質固有の値であった. これらのことから, 今回使用したアパタイト平板が, 歯垢形成の初期段階であるタンパク質吸着実験に, エナメル質代用試料として使用可能であることが明らかになった.
- 1996-06-25
著者
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