チタン製インプラント周囲の骨および微細血管構築の走査電子顕微鏡的観察
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概要
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チタン製スクリュータイプインプラントのインプラント体の形態と骨形成の関係を知る目的で, 骨と直接に接するインプラントのフィクスチャーに着目し, より臨床的な条件下で実験動物にインプラント体の埋入手術を行い, 非機能下で, フィクスチャーの形態が術後のインプラント周囲組織治癒過程における微細血管構築と骨形成の一連の変化にどのように関わるかを検索した. 実験材料および方法 実験材料には, ノーベルファルマ社製直径3.75mm×長さ10mmのBranemark implant (以下フィクスチャーと呼ぶ.)を使用した. 実験動物には, 3〜5歳で, 歯の欠損や口腔内に異常のない健康なニホンザル(Macaca fuscata)8頭を用いた. フィクスチャーは, 実験動物を全身麻酔下にて片側下顎第二小臼歯, 第一および第二大臼歯を抜去し, 抜歯後約3か月間, 抜歯創の治癒を待ったのち, 通法に従って植土し, 両び弁を閉鎖し縫合を行った. フィクスチャー埋入後の実験期間は, 2, 4, 8, および12週とした. 各実験期間に達した実験動物を脱血死させ, 両側総領動脈からOhtaらの方法に従ってアクリル樹脂注入を行い, 樹脂硬化後, 実験部位をフィクスチャーを含んだ一塊のブロックとして切り出し, 軟組織を溶解除去後, 水洗・乾燥・金蒸着を施した血管鋳型標本を走査電子顕微鏡にて観察した. また, 非脱灰研磨組織標本を作製し, 塩基性フクシン・メチレンブルー重染色を施し光学顕微鏡で観察した. 結果および考察 フィクスチャーをフレンジ部, 体部, 先端部に分け, 先端部をさらに縦ノッチ部とホール部に分けて観察を行い, 以下の結果を得た. 1. フィクスチャー周囲の新生骨形成は体部, フレンジ部に比べて先端部がやや遅れる傾向であった. また, 先端部では, 縦ノッチ部に比べてホールの新生骨形成は著しく遅れていた. 2. フレンジ部では, 初期には炎症に伴う血管像が観察された. 新生骨の形成は体部よりもやや遅れるが, フィクスチャーの初期固定効果のあることが明らかになった. 3. 体部では, ネジの走行に沿って新生血管が形成され, その後新生骨がフィクスチャー表面に接するように形成された. このことからフィクスチャーのネジ形態は骨と密接に接合し, 咬合圧を受けとめるのに有利な形態であることが示唆された. 4. 先端部では, 2週目から底部において周囲に新生骨形成が始まり, 4週以降では縦ノッチ部も新生骨によって満たされていた. このことから, 縦ノッチはフィクスチャーの初期固定に重要な役割を果たしていると考えられた. 一方, ホール部では12週でも十分な新生骨形成が観察されなかった. このことから, ホール部は, 長期にわたってはフィクスチャーの回転防止に寄与する可能性は否定できないものの, 初期にはそのような役割は果たし得ないと思われる. 以上の結果から, Brdnemark implantのようなスクリュータイプのフィクスチャーは, 骨と緊密に接合し, その結果, 咬合力を受けとめ, かつ, 回転に抵抗するために合目的的な形態を有していることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1995-02-25
大阪歯科学会 | 論文
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