実験的根尖切除術後の骨修復と微細血管の変化についての走査電子顕微鏡的研究
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概要
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臨床上のいろいろな原因で根尖部の手術を施行しなければ患歯を保存させることができない症例が多い. そのために根尖切除術に関する研究, なかでも実験的根尖切除術後の骨創腔治癒に関する検索がなされている. 本研究は実験的根尖切除後の骨創腔治癒ならびに, それに貢献する微細血管構築の連続変化を骨・微細血管同時鋳型標本によって三次元的に観察したものである. 材料と方法: 雑種成犬の両側下顎第四小臼歯の近遠心両根を抜髄・根管形成に続いてガッタパーチャポイントならびに根管シーラーによる側方加圧充填法によって緊密に根管充填を行ったのち, 遠心根根尖相当部の頬側粘膜骨膜を剥離して頬側歯槽骨壁に骨創腔を形成して根尖切除を行った. 手術した動物を1, 2, 4, 8, 12, 16週の各期間で脱血安楽死させ, 両側総頸動脈からアクリル樹脂を注入し, 実験歯を中心として, 骨・微細血管鋳型標本を作製して走査電顕によって, また注入した試料を前頭面で連続切片を作製し, ヘマトキシリン・エオジン重染色を施し光顕によって観察した. 実験結果: 実験後1週では創腔中心には血餅, 注入樹脂の漏出と既存血管からの洞様血管の新生が, 歯根切断側, 創腔中央, 下歯槽動脈側に認められた. 2週では創腔全体にわたり洞様血管の増殖が旺盛で, ごく一部は成熟した血管形態へ移行し始めており, 新生骨小柱が海綿骨質の壁から創腔中心へ増殖していた. 4週では切断根面直下には緻密骨内面ならびに内縁からの一次海綿骨小柱が連結し骨小柱橋が形成され, 根切断面と骨小柱橋との間隙には微細血管構築の侵入をみた. 8週では新生骨小柱が創腔の海綿骨質部腔を充塞し, その緻密骨部腔は海綿骨側から充塞され始めていた. また, 創腔口表面では骨膜から洞様血管が増殖し骨形成が行われていた. 海綿骨質部腔では下歯槽管周囲と切断面側の骨小柱は二次海綿骨小柱に成熟し, 根切断面と骨小柱橋との間隙には歯根膜血管と連続した毛細血管叢をみた. 12週では創腔の下歯槽管直上および頬側壁からの骨小柱ならびに骨小柱橋は太い二次骨小柱に成熟していた. 創腔口の緻密骨は16週にいたるもなお陥凹を残しており, 骨膜微細血管はもはや停止像を呈していた. 以上の実験的歯根尖切除術後の骨質要素の修復には, これに貢献する微細血管構築の修復からみてほぼ10週間を要するが, 創腔口の緻密骨表面の修復はさらに遅延することが判明した.
- 1994-12-25
論文 | ランダム
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