合成ハイドロキシアパタイトへのフッ素系界面活性剤とタンパク質との競争吸着
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概要
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界面活性剤含有歯磨剤の使用時に認められるように, 口腔内環境下では, 界面活性剤とタンパク質とはエナメル質表面に対して競争吸着状態にある. そこで, 歯磨剤中の表面活性剤よりもその表面活性の高いフッ素系界面活性剤 (FSA) とタンパク質とが合成ハイドロキシアパタイト (HAp) に対してどのように競争吸着するか, 界面電気化学的に検討した. FSAには極性の異なる6種類を, またタンパク質には酸性のヒト血清アルブミン (HSA) および塩基性のサケプロタミン (PR) を用いた. 各FSA溶液 (濃度: 1×10^<-4> および 1×10^<-2> vol%) と種々の濃度の各タンパク質との混合溶液の表面張力および混合溶液中の HAp のセーター電位を測定した. FSA・タンパク質混合溶液におけるタンパク質濃度増加に伴う表面張力の変動パターンは, FSA 濃度 1×10^<-4> vol% ではタンパク質単独溶液における変動曲線とほぼ近似したが, FSA濃度 1×10^<-2> vol% では3つのタイプに分かれた. すなわち, タンパク質濃度の増加に伴って表面張力が, 1) タンパク質単独溶液における値に近づくもの, 2) 低下してタンパク質濃度がある値以上になると, 一定値を示すもの, および 3) 逆に上昇するが, 以後は 2) の場合と同様の成績を示すものである. FSA・タンパク質混合溶液中における HAp のゼーター電位の変動は, どの混合溶液においても, タンパク質単独溶液における場合と近似している. 以上のことから, HAP への FSA とタンパク質との競争吸着は, HAp 表面にタンパク質が優先的に, ついで FSA が吸着するか, あるいは FSA とタンパク質との複合活性体が吸着するか, そのどちらかであるとの結論が得られた.
- 1994-02-25
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