老化促進モデルマウス(SAM)の顎顔面頭蓋の形態と加齢的変化について
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概要
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老化促進モデルマウスは, 促進老化兆候を示す疾患動物である. その老化兆候のなかに変形性顎関節症が含まれることが解明された. そこでこのマウスの顎顔面頭蓋形態を把握することと, 促進老化を示すSAMP系と通常の老化を示すSAMR系における加齢に伴う形態上の差異の有無を分析し, 変形性顎関節症の疾患動物となる可能性を検討した. 実験は, 実験群としてSAMP1//Odu, 対照群としてSAMR1/Oduの雄性SAMをそれぞれ43匹と, 39匹用いて行った. 体重測定を定期的に行ったのち, 側方頭部エックス線規格写真撮影を5, 9, 14, 21, 29および36週齢と, 合計6回行い, Perssonらの方法に従って分析した. その結果は, 以下のとおりである. 体重の変化については, 両系ともに9週齢までは急激な増加を示し, 系統差は認められなかった. 経時的な形態的差異については, P系が危険率0.5%のレベルで有意に大きな値を示したのは, 5週齢ではBa-So, 9週齢ではN-A, PoBa/PoE, 14週齢ではBa-Pr, Ba-So, PoBa/PoE, 21週齢ではBa-Pr, Ba-So, PoBa/PoE, 29週齢ではBa-Pr, 36週齢ではBa-Pr, Ba-So, PoBa/PoE, AN/PoE, AN/SoEであった. 以上の結果から, SAMP1//Odu系とSAMR1/Odu系の顎顔面頭蓋形態の差異は, 成長発育の影響ではなく, 5週齢より存在するBaの位置的差異が成長とともに変化した結果であると考えられる. このことより両系は5週齢より形態的な差異を有するものであり, SAMP1//Odu系とSAMR1/Odu系にはSAMP3系とSAMR系に報告されるような比較変化はみられなかった. 本実験では病理組織学的な検討を行っていないので極論することはできないが, SAMP3系のように変形性顎関節症の疾患動物として使用することは困難であることが示唆された.
- 1993-10-25
著者
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