ラットの歯の実験的移動に及ぼす定常磁場の影響
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概要
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磁場は診断および治療に医療分野で応用されている. 矯正歯科領域においても, 定常磁場はすでに歯の移動に臨床的に応用されており, 疼痛などの不快感がなく臨床的治療効果をあげることができたと報告されている. そこで著者は, 定常磁場が歯の人為的移動に与える影響について検討した. Wistar系雄性ラット120匹(42日齢)を7日間準備飼育したのち, 全身麻酔下で上顎第一臼歯が頬側方向に移動するように初期荷重を20gとして作製された装置を上顎中切歯にコンポジットレジンで固定した. 装置装着30分後, アクリル板とステンレス棒からなる装置でラットの体部を固定し, 実験群には電磁石で最大磁束密度約60 milli teslaの定常磁場を作用させ, 対照群には同様の処置を行ったが, 電磁場のみを与えなかった. 装置装着3, 7および10日後にラットを屠殺し, 歯の移動量を計測したあと, 標本を作製してHE染色を行い観察した. 実験群の歯の移動量は対照群と比較して, 3日間では有意差は認められなかったが, 7および10日間では有意に大きかった. 実験群の7および10日間の歯の移動では, 圧迫側歯槽骨の穿下性骨吸収の進行とともに周囲の血管の拡張と充血, 破骨細胞による活発な骨吸収が認められた. 以上の結果から, 定常磁場を作用させることで, 歯の移動を促進させる可能性が示唆された.
- 1993-10-25
著者
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