長期の歯科的健康管理下におかれた乳歯列期の咬合型と咬合力の年齢的変化について
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概要
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咬合の発育に影響を及ぼすことの少ないと考えられる齲蝕罹患率の低い小児で, 1歳から5歳まで継続して歯科的健康管理下にあった421名の小児 (男児202名, 女児219名)について, 正常咬合, 過蓋咬合, 上顎前突, 反対咬合, 切縁咬合, 交叉咬合および開咬の各咬合型の年齢別出現頻度を調査した. また, それらの各咬合型の年齢別推移ならびに継承期間と1歳における咬合型との関係を縦断的に検討した. さらに, 第二乳臼歯萌出後, 3歳から5歳までの正常咬合児について, バイトワックス法による噛み込み量と咬合力を測定し, 咬合発育との関連性についても検討し, 次のことを明らかにした. いずれの年齢においても各咬合型の出現頻度は, 正常咬合では50%以上であり, ついで過蓋咬合, 上顎前突の順であった. また性差ほ認められなかった. 各咬合型の推移において, 継承型と移行型を認めた. 各年齢別推移では, 1歳から5歳まで同型の咬合型を継承することが認められるのは, 正常咬合, 過蓋咬合, 上顎前突, 反対咬合および交叉咬合であり, その継承率は前三者では45%以上であるのに対して後二者では25%以下であった. 4歳正常咬合児の平均咬合力は23 kgで, 3歳と5歳との間には200%以上の増大を認めた. しかし, 個人差は大きく, 最小値は最大値の1/3であった. また, 厚みが3mmのバイトワックスの噛み込み印記面での咬合接触点は, どの年齢においても観察できなかった. 以上の結果から, 発育途上にある乳歯列の咬合型ほ形態的にも機能的にも定型であることはなく, 常に変動していることが明らかになった. この結果は, 乳歯列期の小児の歯科保健指導の実施にあたって有益なものであると考える.
- 大阪歯科学会の論文
- 1993-02-25
著者
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