合成ハイドロキシアパタイトへのタンパク質吸着に及ぼすフッ素系界面活性剤の影響
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概要
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エナメル質表面へのタンパク質の吸着および細菌の付着は, う蝕の発生誘因の一つと考えられている. したがって, その吸着および付着を阻止すると, う蝕予防効果を期待できる. そこで, 表面張力が低く, 親水基の極性が互いに異なる陰イオン性, 非イオン性, 両イオン性および陽イオン性の各フッ素系界面活性剤(FSA)によって合成ハイドロキシアパタイト(HAp)およびエナメル質を処理すると, その表面性状がどのように変化するか, また, 変化するならば, HApへのタンパク質の吸着にどのような影響を与えるかを物理化学的およびセーター電位的に検討した. FSA処理HAp表面にはFSAが吸着しており, また, その表面荷電状態はFSAの極性を反映した値を示すことがわかった. FSA処理エナメル質の接触角は, 陰イオン性FSAおよび非イオン性FSAではわずかに疎水性を, 両イオン性FSAおよび陽イオン性FSAでは強い疎水性を示した. すなわち, FSAによってHApおよびエナメル質を処理すると, その表面が改質されることが明らかになった. FSA処理HApへのタンパク質(ヒト血清アルブミン;HSA, トリ卵白コンアルブミン;CA, サケプロタミン;PR)の吸着は, FSA濃度が1×10^<-2>vol%のときには陰イオン性 (DS-102), 非イオン性 (DS-401) および陽イオン性 (DS-202) のFSAによって阻害されるが, その他の陽イオン性FSA (LodyneおよびZonyl) および両イオン性FSA (DS-301) では阻害効果はなかった. しかし, FSA濃度が1×10^<-4>vol%のときには, どのFSAによっても吸着は阻害された. FSA処理エナメル質にタンパク質吸着阻害効果があるときは, エナメル質の接触角はわずかに疎水性を, それに対して, 吸着阻害効果のないときには大きな疎水性を示した. すなわち, タンパク質の吸着媒への吸着には, 吸着媒表面の疎水性が関与していることが明らかになった.
- 1993-02-25
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