ラット口蓋粘膜膠原線維構築の加齢変化に関する走査電子顕微鏡的研究
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概要
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床下組織の義歯装着に対する適応様式を理解する目的で, アルカリ・水浸軟・走査電顕法をラット口蓋粘膜に応用し, 生後3週齢から90週齢までの加齢に伴う固有層表面の膠原線維構築の変化を観察した. 低倍率の観察では, 口蓋前方および後方の横口蓋ヒダ部の結合組織乳頭は, 10週齢までは加齢とともに大型化し, 形態も複雑化したが, 32週齢以降では単純化する傾向が認められた. また, 平坦部には加齢に伴う変化はほとんど認められなかった. 高倍率の観察では, すべての週齢において線維網表面から上皮方向へ突出した微細な隆起構造 (microridge ; 以下MRと略す) が無数に認められた. これらのMRには, 線維網が上皮方向に突出したヒダ状のものと, それよりもさらに小型で一部の線維が集束・隆起した線維束状のものとが認められ, これらは相互に移行していた. MRは, すべての週齢において口蓋前方の横口蓋ヒダ部で最も多く, それらの形態も複雑であった. 一方, 口蓋後方の平坦部のMRは, 他の部位と比較して数が少なく, 形態も単純であった. また, MRは10週齢までは, 加齢とともにいずれの部位においても増加し, 形態的には上皮方向への伸展と複雑化が認められた. しかし, 32週齢ではMRの形態の複雑化は認められるものの, 上皮方向への伸展は認められず, 90週齢では, いずれの部位においてもMRは減少し, 小型化していた. また, 固有層表面の膠原線維網は, いずれの部位においても, 32週齢までは加齢とともにより緊密性を増し, 個々の線維あるいは線維束の捻れや蛇行も加齢とともに強まった. しかし, 90週齢では, これらは, いずれも低下した. 以上の結果から, ラットにおける口蓋粘膜の膠原線維構築には部位による差異が存在し, また, 加齢により変化することが明らかとなった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1992-12-25
著者
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