ヌードマウス移植ヒト口腔癌細胞に対するCDDP誘導体cis-1, 1-Cyclobutanedicarboxylato (2R)-2-methyl-1, 4-butanediamine platinum (II) (NK-121)の抗腫瘍効果について
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概要
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Cisplatin (CDDP) は有効な化学療法剤であるが, その腎毒性, 消化器障害のため臨床応用が制限されているのが現状である. cis-1, 1-Cyclobutanedicarboxylato (2R)-2-methyl-1, 4-butanediamine platinum (II) (以下, NK-121と略す) はCDDPの副作用軽減と抗腫瘍効果の増大を目的として開発された第二世代の白金化合物である. 懸案の腎毒性, 消化器障害は軽減されたが, その一方で骨髄機能抑制を認めると報告されている. 著者はKB細胞移植ヌードマウス (4週齢, BALB/cA) を用いてNK-121の抗腫瘍効果および副作用の検討を行った. さらに, Peplomycin (以下, PEPと略す) との併用効果についても検討を行った. 単独投与実験においては推定腫瘍重量が250〜300mgになったものを, 併用投与実験については推定腫瘍重量が750〜800mgのものを1群5匹として実験に供した. 抗腫瘍効果判定はBattelle Columbus Laboratories Protocolの判定基準に準じ, 実験開始後4日ごとに40日目まで行った. また, 副作用の指標として宿主の体重および白血球数, 赤血球数を測定した. 結果はNK-121単独投与により著明な腫瘍の縮小を認めた. また, 体重減少は軽度であり, 白血球数, 赤血球数においても一時的な減少からの回復が認められた. PEPとの併用投与群では, NK-121単独投与群より高い抗腫瘍効果を得ることができ, 体重減少は同等の抗腫瘍効果を示す単独投与群に比べて少なかった. 以上より, NK-121はKB細胞に対して抗腫瘍効果が高く, 副作用の少ない化学療法剤であると考える. また, PEPとの併用投与は副作用を回避しつつ, より高い抗腫瘍効果が得られる投与法と考える.
- 大阪歯科学会の論文
- 1991-12-25