HRP順行性輸送によるネコ顎関節の神経分布に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
HRP順行性輸送法により, ネコ顎関節における三叉神経節由来の知覚神経線維の分布について検討した. 実験には, 雄の成ネコ (体重3.0〜4.0kg) 10頭を用いた. 麻酔および非動化したのち, 気道および静脈路を確保して脳定位固定装置に固定した. 右側大脳半球を除去して右側三叉神経節を露出し, 30% HRP (Type VI) 生食水溶液10μlを同部後外側部に注入した. ネコを48時間生存させたのち, ヘパリン加生理食塩液を灌流しながら脱血, 1.25%グルタルアルデヒドおよび1%パラホルムアルデヒド混合固定液 (0.1Mリン酸緩衝, pH7.4) にて灌流固定, 10%ショ糖を含む0.1Mリン酸緩衝液にて洗浄を行い, 右側顎関節の関節包および関節円板を一塊として摘出した. 厚さ20μmの連続凍結切片を作製し, TMB反応を行って神経分布を観察した. これより, 以下の結果を得た. 1) 神経線維の形態は, 大部分が屈曲蛇行していた. 神経終末は, すべて自由神経終末であった. 2) 10頭中1頭には, 関節円板中央部にHRP標識神経線維が認められたが, 残り9頭では, 関節円板辺縁部のみに分布していた. 3) 関節滑膜下組織にHRP標識神経線維が観察され, 同線維の一部は滑膜内にも認められた. 4) 関節包に分布する血管外膜にHRP標識神経線維が観察された. 5) HRP標識神経線維, 関節円板と関節包との境界部に多く, 同部から遠ざかるにしたがい減少する傾向にあった. 6) HRP標識神経線維は, 顎関節前方部に比較して後方部に, また内側部に比較し外側部に, それぞれ多く観察された. 以上の結果から, ネコ顎関節における三叉神経節由来の知覚神経線維の分布が明らかになった.
- 1991-02-25
著者
関連論文
- HRP順行性輸送によるネコ顎関節の神経分布に関する研究
- HRP順行性輸送によるネコ顎関節の神経分布に関する研究
- 3 HRP順行性輸送によるネコ顎関節の神経分布に関する研究 (第396回 大阪歯科学会例会)
- 真菌塊に起因する上顎洞結石の1例