歯科用修復材のエージングによるCompressive Propertiesと摩耗への影響について (大阪歯科大学大学院歯学研究科博士論文内容要旨および論文審査結果要旨)
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概要
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前歯審美修復材として臨床に広く応用されているコンポジットレジンが, 近年臼歯部咬合面用として臨床に応用されてきている. しかし, 臨床報告においての失敗例も報告されており, とくに, アマルガムと比較して摩耗量が多く, 材料によっては充填物に咬合圧が加わると充填物の体部で破壊が起こり解剖学的形態を失う報告もみられる. コンポジットレジンの摩耗のメカニズムについては, いろいろ論議がかわされているが未だ確立された定説はない. そこで著者は, 繰り返し荷重と4か月水中浸漬によるエージングの影響が, 成形修復材のCompressive Propertiesと摩耗にどの様に影響を与えるかについて知る目的で本実験を企画した. 実験1. エージングによるCompressive Propertiesへの影響について 1) 繰り返し荷重条件によるCompressive Propertiesへの影響について 加振波形を3条件, 振動数を3条件設定と, 繰り返し荷重によるCompressive Propertiesへの影響について, アマルガム1種, コンポジットレジン2種の比較検討を行った. 2) 歯科用修復材のエージングによるCompressive Propertiesへの影響について 繰り返し条件は, 加振波形を矩形波, 振動数を5Hzに設定し, 24時間水中浸漬と4か月水中浸漬した試料に対して, 繰り返し荷重を負荷したものと, しなかったものについてアマルガム4種, コンポジットレジン5種を用いて比較検討を行った. 実験2. エージングによる摩耗への影響について 稗田らの開発による摩耗試験機を用いて, エージング条件を実験1の2)と同条件に設定し, エージングによる摩耗への影響についてアマルガム4種, コンポジットレジン5種を用いて比較検討を行った. 結果 1) 加振波形, 振動数によるCompressive Propertiesへの影響に差は認められなかった. 2) 繰り返し荷重 (矩形波, 5Hz) 後のCompressive Propertiesは, コントロールと比較してアマルガム1種 (Spherical-D) 以外上昇傾向が認められた. 3) コンポジットレジンの4か月水中浸漬のCompressive Propertiesへの影響は認められなかった. 4) アマルガムでは, 繰り返し荷重後の摩耗への影響は試料体先端部では認められず, 中央部切断試料体で認められた. 5) MFRタイプコンポジットレジンでは4か月水中浸漬後, 繰り返し荷重の試料体の一部に摩耗試験初期に破折がみられた. 6) エージングを与えた試料体でもコントロールとの相対的摩耗量の順位に差はなかった. 結論 1) Compressive Propertiesと摩耗量との間に, 相関は認められなかった. 2) エージング条件を変えることにより疲労が摩耗に関与することが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1990-04-25
大阪歯科学会 | 論文
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