レーザー照射後のエナメル質および象牙質表面の微細構造
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概要
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エナメル質および象牙質に対するレーザー照射の影響を, CO_2レーザーおよびNd:YAGレーザー2種のレーザーを用い, 表面微細構造および表面化学組成の変化から解明する目的で研究を行った。試料には, エナメル質および象牙質から作成したディスク(直径: 5 mm, 厚さ: 2 mm)を用い, CO_2レーザーおよびNd:YAGレーザーをエナメル質ディスクには5, 10, 20, 30 J/cm^2, 象牙質ディスクには2.5, 5, 10, 15 J/cm^2のエネルギー密度で照射した。レーザー照射後試料の表面微細構造については原子間力顕微鏡(AFM)および電子顕微鏡(SEM)による観察を行い, また, 表面化学組成に関してはX線光電子分光分析(ESCA)によって測定を行った。AFMによる表面微細構造観察の結果, レーザー照射エナメル質においては, 隣接するエナメル小柱結晶が照射するエネルギー密度の上昇とともに融合する状態が観察された。また, 象牙質においては, 象牙質結晶が照射するエネルギー密度の上昇とともに方形に変化する様子が観察された。これらの結果から, レーザーを照射することによって起こる耐酸性の向上は, エナメル質および象牙質結晶構造が変化し, 表面積が減少することによって生じる可能性が示唆された。エナメル質および象牙質における結晶構造の変化は, Nd:YAGレーザーにおいて明確であった。また, レーザー照射による表面微細構造の変化は象牙質においてより著明に認められた。SEM観察においては, CO_2レーザーおよびNd:YAGレーザー照射によりエナメル質表面が滑沢となる像が観察された。象牙質においては,CO_2レーザー照射により象牙細管の拡大がおこり,象牙質表面に亀裂が生じた。Nd:YAGレーザー照射においては, 象牙細管の封鎖がみられ, 高エネルギー密度での照射において, 溶融・焼結様の全く異なる像を呈した。しかし, レーザー照射によるエナメル質および象牙質の表面微細構造変化はAFM観察とくらべ, 明確ではなかった。表面化学組成分析の結果, エナメル質においては, レーザー照射により, カルシウム, 炭素, 酸素には変化を認めなかったが, 低エネルギー密度CO_2レーザー照射において, リンのピークの変化から, エナメル質表面に新たなリン酸カルシウムが生成されることがわかった。また, 象牙質においては, 低エネルギー密度CO_2レーザー照射により有機質の減少が起こっていることがわかった。
- 1997-09-25
論文 | ランダム
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