顎機能異常の咬合診査においてT-Scanシステムから得られる11統計量の基準範囲設定
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概要
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顎機能異常, いわゆる顎関節症は, 顎口腔系の構成要素(咬合, 咀嚼筋, 顎関節)おのおのの形態, 機能の不調和により発症するが, そこに精神的, 全身的因子がさまざまな形, 程度で関わるために, その発症過程はたいへん複雑である。著者の講座は, 咬合, とりわけ咬頭嵌合位での咬合接触状態を詳細に検討してきた。本研究では, 咬頭嵌合位での咬合接触の時間的, 力的な客観的診査が可能なT-Scanシステムを用いて11統計量を得て, 計量的な咬合診査の確立を目指した。いわゆる健常者として, 男性59名, 女性50名(すべて20歳代)を選んだ。被験者を歯科用椅子に座らせ, 頭位が変化しないようにヘッドレストを利用してアップライトの姿勢で, ホットセンサを用いて記録した。咬合接触時間に関する6統計量として, すべての咬合接触順序の前後的バランス(TFB), 第5番目までの咬合接触順序の前後的バランス(PFB), 右側の咬合接触順序の前後的バランス(RFB), 左側の咬合接触順序の前後的バランス(LFB), 第1番目からすべての咬合接触順序の左右的バランス(TLR), 第5番目までの咬合接触順序の左右的バランス(PLR)を得た。また咬合接触力に関する5統計量として, 左側の咬合接触点での力の総和(LF), 右側の咬合接触点での力の総和(RF), 咬合接触力の左右的バランス(LRM), 左側の前後的バランス(LL), 右側の前後的バランス(RL)を得た。それぞれの基準範囲をパラメトリックな飯塚・久米法を用いて設定した。なお左右的バランスを示す統計量では, マイナス値で右側に, プラス値で左側に偏っていることを表わした。1. 咬合接触時間に関する統計量であるTFB, PFB, LFB, RFB, TLR, PLRの基準範囲は, それぞれ14.88〜40.50 mm, 11.75〜41.21 mm, 16.77〜43.85mm, 16.33〜41.54 mm, -7.78〜12.82 mm, -9.73〜15.53 mmとなった。2. 咬合接触力に関する統計量であるLF, RF, LRM, LL, RLの基準範囲は, それぞれ13.43〜66.47 N, 10.83〜57.10 N, -856.54〜491.15 N・mm, 12.17〜43.07 mm, 17.08〜42.69 mmとなった。
- 大阪歯科学会の論文
- 1997-09-25
著者
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