舌癌T2NO例に対する組織内照射単独と外部照射併用に関する臨床放射線学的研究
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概要
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舌癌早期例(原発巣)に対しては根治性かつ形態および機能温存を目的に放射線治療が第一選択される場合がある。照射法には外部照射, 組織内照射および腔内照射などが挙げられ, なかでも外部照射や詰めの治療としての組織内照射の役割は極めて大きい。そこで今回, 放射線治療された舌癌T2NO症例を対象に放射線治療成績を分析するとともに, retrospectiveに組織内照射単独と外部照射併用組織内照射の治療成績を比較検討することを目的とした。研究方法: 1967〜1980年までに大阪大学医学部附属病院放射線科で治療された舌扁平上皮癌のうち, T2NOMO (stage II, by UICC 1987) 200例を対象とした。治療術式はすべてに組織内照射が行われ, (1)組織内照射単独89例(内10例は抗癌剤併用), (2)外部照射先行後組織内照射併用111例(内13例は抗癌剤併用)である。組織内照射には放射性同位元素である^<226>Raおよび^<192>Irなどの線状線源が使用され, 腫癌線量として60〜70 Gyが与えられた。外部照射併用の場合は^<60>Co-γ線により, 標的線量として1回2 Gy, 週5回で計30 Gy/15回/3週の照射(側方1門照射あるいは対向2門照射)後, 組織内照射にて60〜70 Gyの腫瘍線量が追加された。なお, 外部照射における照射野は縦8 cm×横10 cmが標準であった。結論: 舌癌T2NO例(200例)に対する外部照射併用組織内照射(111例)と組織内照射単独(89例)の治療成績の比較から, 1) 組織内照射単独と外部照射併用では局所制御率に差は認められなかった。2) 組織内照射単独例については^<226>Ra針および^<192>Ir針を比較した場合, ^<192>Ir針(後充填法)のほうが^<226>Ra針(直接刺入)よりも2年局所制御率は高かった。3) 頸部リンパ節転移については外部照射併用例の場合, 外部照射の照射野内リンパ節(顎下部および上内深頸)の転移出現率は組織内照射単独に比して低値を示したが, 照射野外リンパ節(中内深頸)の転移出現率は高くなっていた。以上の結果から, ^<192>Ir針(後充填法)による組織内照射は舌癌T2NO例に対して局所制御率, 形態および機能温存の面で優れた治療法であることが再確認された。
- 大阪歯科学会の論文
- 1997-06-25
大阪歯科学会 | 論文
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