感染症制圧をめざしたベンチャービジネス 研究集会報告 1 あらためて物理的バリアーを考える
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概要
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京都大学にいた頃は,造血とT細胞分化のことを研究してきました。これはもちろん生体防御学の範疇に入ることではありますが,興味の中心は細胞分化のメカニズムであり,人々を感染から守ろうなどという使命感を持ち合わせていたわけではなかったと,反省しています。大学をやめて初めて,長年自由に研究させてもらったことに対する恩返しをすべきという気になり,新しい観点から仕事を始めています。といっても手がけたばかりで,学会でお世話するなどおこがましい限りですが,小さな発明品(SARS・インフルエンザ等の感染が疑われる人を搬送するための車椅子型アイソレーター)を売り出したこともあって,その発想の原点のようなものを話すようにと中村総会長からご指名を受けました。私の再出発点は次のごとくです。医学・医療の研究は,世界中で多数の研究者によって広範に展開されています。その成果は,確かに医療に生かされ,結果として例えば平均寿命が長くなっているという事実があります。しかし病気で苦しんでいる人の数は決して少なくなったのではなく,むしろ増えているかもしれません。われわれのような小さな組織が,病苦からの開放などという大問題に挑戦するには,大学等と同じ方法論では対抗できません。現代医療の流れとは異なるアプローチがあるのではないかと考えました。
- 長崎大学の論文