モジュラー型アーキテクチャにみる学習効果の一考察 : 中国localPCメーカーが享受する部品技術のスピルオーバーを例として
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概要
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中国localPCメーカーは、自国市場でそのシェアを高めてきた。しかし、PC用の部品(ICやデバイス)は海外から輸入している。また、研究開発投資の水準は低い。研究開発(R&D)には、新しい技術を生み出す面と学習能力を養う面があるとされるが、外国技術を吸収し同化する高い能力というよりも、補完的な技術を蓄積する能力によって、輸入がもたらすスピルオーバーを活かしている。具体的には、寄せ集め型という初歩段階の製品開発であり、既に機能が割り付けられた既存の構造(部品)を前提とした枠組みの中で開発している。したがって、部品の配置や組み合わせ方法、部品間のインターフェース方法など補完的技術に関するknow-howの習得に学習を集中させ、最新技術情報の収集、試作機のテスト・マーケティングなどの学習サイクルを通じて、価格の低下、コストの低減を図っている。これら経験を通じた学習効果の発揮が、中国市場での彼らの製品競争力の向上を説明し得る1つの要因である。ただ、今後とも、寄せ集め型に甘んじ続ける以上、組織は既存知識の活用に留まり、新たな可能性の探索をロックインしてしまう。生産量の拡大は研究開発投資を誘発するというダイナミズムの下では、慣性のロックをはずして新しい技術を生み出す研究開発(R&D)に地道に取り組むことが重要になる。
- 2004-09-30
著者
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