中小企業のグループ化とグローバル事業展開における企業相互の空間的近接性の意義 : ボローニャの包装機械メーカーの事例
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概要
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本研究は、経営者間のインフォーマルなネットワークが高度に発達している産業集積地において、競争局面にある企業間の関係性に対して空間的近接性がどのようなインパクトをもたらしているかについて明らかにする。イタリアでは、産業機械、あるいはテキスタイルや革製品、家具などといった生活関連産業の集積地で、1980年代後半から90年代を通して進出市場の拡大という形で企業間の競争が激化した。しかしながら、企業数の減少を経験した地域が数多くみられるにもかかわらず、価格競争力に基づく産業空洞化が産業集積の崩壊を招くプロセスは、必ずしも全ての事例に当てはまるわけではなく、むしろ高いパフォーマンスを示す企業がグループ化するによって競争関係の中で集積が維持されている地域が数多い。ところが先行研究においては、取引関係が集積外部に発展する傾向にあること、そして生産組織の再編成が高パフォーマンス企業の意思決定能力に大きく反映されることが着目され、そこには空間的近接性が介在する余地は徐々に限られるようになると考えられてきた。そこで本研究では、メーカーとサプライヤーの関係から集積を捉えるのではなく、むしろグループ化によって集積外部へと分業関係が流出する局面でのメーカー間の関係に着目する。そこには、地域や国を越えたグループ化によるアライアンスが展開される上で、集積内部のメーカー間の競争における複雑な変化が見られる。ところがこの関係性については、経営者間のインフォーマルなネットワークが活用されていることから、相互の空間的な近接性が新たな役割を果たしていると考えられる。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2004-09-30