An Approach for Ecological Risk Assessment of Pesticides in Agriculture (ミニレビュー 化学物質の健康と環境に及ぼすリスク評価と管理)
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概要
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農薬の生態毒性リスクを圃場単位で評価比較する方法を開発した.この方法は特定の作物に施用される各種農薬の生態リスクの可能性を客観的に評価することを目指したものである.これによって, 毒性残留物が周辺環境に与える負の影響を最小化する管理方法のデザインが可能になる.相対的生態リスク(EcoRR)は, 農薬の環境影響を評価するための複数因子から構成される指数である.基本的にはリスク評価の標準的な枠組み(例えば「暴露/毒性」比)に立脚しているが, それに加えて物理化学的因子と評価対象生態系中の生物多様性因子も含んでいる.暴露評価では化学物質の環境中濃度, その残留性, 生物濃縮性, および全ての環境コンパートメント(水, 底質, 土壌, 植生, 大気)における暴露の可能性を考慮する.個々の化学物質が生態系に与える毒性学的インパクトは, そこに存在する複数の生物分類群(Taxa)に対する重み付けした毒性の平均値として表される.重み付けの因子としては, コンパートメントの生物多様性を用いる.得られたリスク値は, 特定の生態系に対する毒性化学物質の相対的インパクトを比較評価するのに用いることができる.特定のコンパートメントにおける暴露と生物多様性は, 両方とも対象地域に特異的な性質である.従って, EcoRRは農薬の圃場単位でのリスク評価に適用できるが, 異なる環境間でのリスクの比較評価に用いることは適切ではない.複数の生物分類群について, EcoRRと従来用いられているハザード指数とを比較したところ, 甲殻類, 鳥類, ほ乳類について両モデル間に高い相関が認められた.EcoRRは毒性化学物質の生態系に対する潜在的リスクを十分予測できるので, 特定の対象作物の栽培管理をする上で, リスクのより小さい農薬の選択を可能にするものである.
- 日本農薬学会の論文
- 2002-11-20
著者
-
Sanchez Bayo
Faculty Of Horticulture Chiba University
-
Sanchez-bayo Francisco
Faculty Of Horticulture Chiba University
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