熱力学的手法を用いたカーバメート系農薬の蒸気圧の推算
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概要
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Modified Watson法を用いた熱力学手法により, 様々な化学構造のカーバメート系およびチオカーバメート系農薬の蒸気圧を, 化学構造のみから推算する方法を開発した.各農薬の蒸気圧として, Donovan (1996)のガスクロ法によって算出した値を用い, 現行のModified Watson法の推算値と比較したが, ほとんどの農薬について推算値の方が高値を示した.そこで, Modified Watson式の定数mの最適化を行った結果, Sugden's parachorを使用した場合m=0.811, McGowan's parachorの場合m=0.790が最適であった.さらに, 蒸気圧にとって分子間に形成される水素結合の影響が重要なファクターであることから, 最適化したModified Watson法に分子構造中の水素結合部位数(NW)の概念を導入した結果, 分析(ガスクロ法)による蒸気圧値との差がさらに著しく減少した.最適化過程に使用していない農薬を用いて, 本法の検証を行ったところ, ガスクロ法の誤差範囲内で文献値とほぼ一致した.本法により, カーバメート系およびチオカーバメート系農薬について, 分析を必要とせず, 化学構造のみから10^<-5>∿10^1Paの範囲の蒸気圧を推算できることが示唆された.
- 日本農薬学会の論文
- 2001-02-20
著者
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