除草剤クロルスルフロンのタバコおよびハムスターの培養細胞における作用機構
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概要
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クロルスルフロン(CS)はハムスター腎臓(BHK)培養細胞の生育をまったく阻害しなかったが, タバコ培養細胞には1ppbの低濃度で阻害した.タバコおよびBHK培養細胞とニワトリヒナ肝臓から抽出したアセトラクテート合成酵素(ALS)の阻害を調べた結果, タバコでは5∿10ppb CSで50%阻害されたが, 動物からの酵素は500ppbでも阻害されなかった.植物および動物由来の酵素の反応生成物はアセトラクテートと確認された.しかし動物生体内において実際にこの反応が起こるかどうか明らかでないが, 両酵素の最適反応条件でのpH, 温度, コファクター要求性およびバリンによる阻害が異なっていた.このようにCSは植物ALSのみを阻害することにより動物毒性が低いと考えられる.タバコ培養細胞ALSに対するCSの阻害様式を調べた結果, 基質ピルビン酸に対して非拮抗作用を示し, コファクターthiamine pyrophosphateに対して不拮抗作用を示した.このことからCSは酵素, 基質, コファクター複合体に結合することによって, ALSを阻害すると考えられる.
- 1991-11-20
著者
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中田 昌伸
Department of Plant Protection, Faculty of Agriculture, Kobe University
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中田 昌伸
Department Of Plant Protection Faculty Of Agriculture Kobe University