ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤クロルフルアズロンによるハスモンヨトウ異常表皮幼虫の発現過程
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概要
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ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤クロルフルアズロンをハスモンヨトウ5齢幼虫に投与すると, 6齢脱皮時において表皮の形態に様々な異常を生じた.高薬量では体全体が黒化し脱皮できないか, 脱皮を完遂できずに死亡した.低薬量では脱皮には成功するものの, しばしば新表皮の模様が部分的に消え縞状などの黒い染みを伴った灰白色になった.黒化する幼虫は常にその直前に体が半透明になる状態を経た.この半透明な旧表皮に囲まれた6齢幼虫を取り出してみると, 体節間の縫線に近接した部分(節間膜である可能性が強い)と最後の体節の背面の表皮が裂けていた.さらに胸部の体節の背面が裂けている幼虫も時々観察された.また脱皮に成功した幼虫の間でしばしば見られる黒い横縞状の染みも, 縫線に近接した部分に現れた.そして最後の体節の背面のみに黒い染みを持つ幼虫もよく観察された.これらの観察から黒化, 異常新表皮ともに脱皮前の新表皮形成阻害に起因し, そしてハスモンヨトウ幼虫表皮においては縫線に近接した部分と最後の体節の背面, および幾分程度は落ちるが胸部体節の背面が, 他の部分に比べてクロルフルアズロンの影響を受けやすいと考えられた.また脱皮に成功し表皮にも異常が認められないにもかかわらず, それ以上成長しない幼虫が時々観察された.これらの幼虫では口器の機能に異常が認められ, そのために飼料を摂取できなくなっていると思われた.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-05-20
著者
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土岐 忠昭
Central Research Institute, Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd.
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吉田 潔充
石原産業株式会社バイオサイエンス営業企画本部
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土岐 忠昭
Central Research Institute Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.
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尾松 正人
Central Research Institute, Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.
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吉田 潔充
Central Research Institute, Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.
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尾松 正人
Central Research Institute Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.
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Toki T
Central Research Institute Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.
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