磨砕均質化した果実・そ菜中における Captafol の分解
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概要
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captafolが農産物の残留分析用の均質化試料中で不安定であることを確認し, とくに注意を要する農産物を指摘するとともに, その分解防止対策の確立のため分解原因の検討も行なった.均質化試料中のcaptafolの分解速度を比較した結果, ダイコン, ホウレンソウ, キュウリおよびキャベツでの分解速度が大で, ミカン(果皮), ピーマン, ジャガイモおよびタマネギがこれらに次ぎ, ミカン(果肉), トマト, リンゴおよびイチゴでは比較的安定であった.これらの均質化試料のpHとcaptafolの分解速度との間に高い相関が認められたので, 農産物の均質化試料のpHを測定することによって, その試料中のcaptafolの安定性をおおむね推察することが可能と思われた.透析, 熱処理および反応温度等の検討をした結果, 分解の主反応は酵素的なものというよりはむしろ植物成分による化学反応であると推察された.そこで, チオール化合物がその主因をなすと推定し, 還元型グルタチオンとシステイン塩酸塩が同様の分解能を有することを確認した.また, 類縁化合物であるcaptan, dichloneおよびfolpetもキュウリ均質化試料中では不安定であった.これらの分解を防止する対策としては, 有機溶媒で均質化するか, 均質化前に酸またはチオール基隠蔽剤を添加する方法が有効と考えられた.
- 日本農薬学会の論文
- 1978-05-20