細胞親和性細菌に対する感染防御免疫とがん免疫への応用
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概要
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結核菌,サルモネラ菌,リステリア菌などの細胞親和性細菌に対する感染防御免疫は細胞性免疫であり,死菌ワクチンや成分ワクチンでは誘導できず弱毒生菌ワクチンでのみ誘導可能である.本研究においては,マウスのサルモネラ症をモデルとして,細胞親和性細菌に対する感染防御免疫誘導機構を明らかにすると同時に,その機構のがん免疫療法への応用の可能性について担がんマウスを用いて検討した.その結果,細胞親和性細菌に対する感染防御免疫の誘導には,弱毒生菌を貪食したマクロファージによって新たに産生されたストレス蛋白と細菌抗原の結合物が,抗原提示細胞の活性型インターロイキン12 (IL12p70)産生を誘導する必要があることが示唆された.弱毒生菌投与が宿主のIL12p70産生を誘導することを利用したがん免疫療法の可能性について検討した結果,弱毒生菌投与,特に転移性のがんに対しては,少量の抗がん剤を併用することによって強い抗腫瘍活性を誘導できることが確認された.(Kitakanto Med J 2003 ; 53 : 361〜368)
- 2003-11-01