α鉄の冷間圧延集合組織の発達過程
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概要
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α鉄の単結晶を圧延するときに最終安定方位に至るすべり回転を, おのおの最大の分解せん断応力を有する1つまたは2つの{011}<111>, {112}<111>または{123}<111>すべり系が協同して活動するものと仮定して, (001)標準ステレオ投影上で幾何学的に解析した.(1) <112>方向が圧延方向と活動すべり方向の間に存在するような方位をとつている結晶は最初{111}<112>方位となる.そこで{011}<111>すべり系において共役すべりが広範囲に起こると考えると, {111}<112>集合組織成分は最も安定な終着方位{112}<110>に向かつて徐々に移動する.しかしながらもし{112}<111>すべり系の活動のために, 圧延面法線が{112}に向かつて回転することが困難になると, 圧延面に垂直な<111>軸を有する繊維組織がその結果として形成される.(2)<110>方向が圧延方向と活動すべり方向の間に位置している場合には, 圧延面法線は大円弧{001}-{112}-{111}に近づき, 一方圧延方向は<110>に移動する.そこで{011}<111>すべり系と{112}<111>すべり系による二重すべりが活動しはじめ, 前者は圧延面法線を{112}に向かつて回転させ, 後者は{001}に向かつて逆向きの回転を生ずる.それに対し圧延方向は<110>のすぐ近くに留まつている.その結果2つの最終安定方位{112}<111>と{001}<110>が発達する.しかしながらこの方位変化の途上で広範囲に交差すべりが起こると, {001}と{111}の間に存在する圧延面法線は安定となり, 圧下率が増加するにしたがつて<110>軸が圧延方向に平行に配列した部分的繊維組織の発達が起こる.おわりに懇切なるご指導を賜わつた横浜国立大学和田良澄教授と東京大学阿部秀夫教授ならびに有益な討論をしていただいた八幡製鉄(株)技術研究所長島晋一, 武智弘両氏に深く感謝いたします.
- 社団法人日本鉄鋼協会の論文
- 1968-05-01
著者
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