非対称情報と動的最適化問題 : Mathematicaを使った数値
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概要
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Salanie[10]に従って、情報に非対称性がある場合のワイン市場を分析しよう。菅[11]では、情報の非対称性がある場合のワイン業者の行動が、制約条件付きの非線形最大化問題として捉えることができる点にスポットを当てた。簡単な数値例を使って、いかに具体的な問題を解くかを考えた。特に汎用の数学プラットフォームを提供するMathematica上で開発されたBhatti[2]のパッケージを用いて、コンピュータに問題を解かせることを考えてみた。その際、消費者のタイプが離散的に与えられていると仮定した。ここでは、Salanie[10]に従って、消費者のタイプの集合の濃度が連続体(continuum)の濃度である場合を考えよう。議論を簡単にするために、消費者のタイプは、実数の閉区間[O__-, O^^-]で表現できるものとする。このとき、個人合理性条件や誘因両立性条件、さらには、Spence-Mirrlees条件などが、いかに表現されるのであろうか、離散型のケースといかなる違いが生じるのであろうかといった点が焦点となる。また、離散型のケースではKuhn-Tucker条件を使って問題を解いたが、連続型のケースでは最大原理を使って問題を解くという、解法の相違も重要である。ここでは、菅[11]の数値例を連続型にしたものを用いて数値解を求め、図解することによって抽象性の高い議論を手で触って操作できるレベルにひきもどすことを考えている。