経門脈アンジオエコー法による肝腫瘍存在区域診断
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概要
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肝区域, 区域間境界を描出することで肝腫瘍存在区域を正確に把握することを目的として, 門脈枝内炭酸ガス注入による経門脈アンジオエコー法を考案し, 肝切除予定の肝細胞癌症例31例に施行して担癌区域診断を試みた. 超音波誘導下に肝内門脈枝 (前区域枝21例, 後区域枝5例) を 21G・PTC 針で経皮的に穿刺し, 炭酸ガス 10∿15ml を注入し超音波検査を行った. 全例で注入門脈枝の支配領域が高エコー化し, 隣接領域との境界が明瞭に認められた. 右肝静脈や中肝静脈はこれら境界線上に認められ本法において区域が正確に描出されることが示唆された. 31例全例で, 腫瘍を前区域, 後区域, 左葉の3領域へのふり分けができ, 区域間境界と腫瘍との距離が系統的区域切除の際の surgical margin として術前に把握できた. またそれが正確であることは手術中に確認された. 以上本法では肝区域, 区域間境界が描出できるため腫瘍の存在区域が正しく把握可能である.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1993-11-01