広葉樹の硫酸塩法及び中性亜硫酸セミケミカル法蒸解試験 : アカガシ,イタジイ,イス,ヤマグルマのパルプ化に就いて
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概要
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(1) 広葉樹中我国に於て蓄積の比較的多いカシ属の代表的樹種であるアカガシ,シイ類の中イタジイ及び九州,四国に多く蓄積されるイス,更に広葉樹としては繊維が非常に長大で材質の良いヤマグルマの4樹種に就て硫酸塩法蒸解,中性亜硫酸セミケミカル法蒸解並びに此等生成パルプの品質試験を行い,更に又未晒パルプの漂白試験及び同パルプの品質試験を行い,更に同時に混煮試験も行い,此等の樹種がパルプ原料として充分期待出来ることを実験した. (2) 硫酸塩法にては4種類の硫化率の蒸解液を作り,21回の蒸解試験を行つた.パルプ収率はイタジイ,ヤマグルマ,アカガシ,イスの順に減少し,何れも30%台で良い結果とはいえないが,1m^3当りの収量は材の容積比重に影響され,アカガシ,イス,ヤマグルマ,イタジイの順に多くなり,イタジイを除いて他はすべて200kgを遙かに越え,単位体積当りの歩留は針葉樹より勝つている. (3) N.S.S.C.法に就ては各樹種並びに混合チツプにつき各1回宛実験した.Na_2SO_3:NaHCO_3 4:1で機械後処理は鉄製の乳鉢内でよく搗いて繊維の解離を行つた.収率はK.P.よりは勿論多く60%前後でイタジイ,アカガシ,ヤマグルマ,イスの順で1m^3当りの収量アカガシ476kg,イス465kg,混煮412kg,ヤマグルマ385kg,イタジイ318kgの順で,何れも針葉樹亜硫酸法の2~3倍近い値で有望視された. (4) 漂白試験はK.P. 8種及びN.S.S.C.P. 5種とに就いて行つた.其の方法は塩素化―アルカリ処理一次亜塩素酸石灰処理―脱塩素処理の4工程よりなる2段漂白法に拠った.K.P.は塩素量が少なくてすむが,N.S.S.C.P.では塩素が非常に多くいる.イス、イタジイは2段漂白では充分でないようであり,N.S.S.C.P.は経済的には,漂白は不利のように考えられる.未晒のまま包装用,板紙用或は段ボール紙用に供した方がよいように思われる. (5) 本広葉樹種のパルプ化は何れの場合も良好であり,混煮も可能で,この点硫酸塩法が最も適している.Authors have manufactured two kinds of pulp (K.P. and N.S.S.C.P.) with some deciduous woods, Quercus acta Thunb., Shiia Sieboldi Makino., Distylium racemosum Sieb. et Zucc., Trochodendron aralioides Sieb. et Zucc. and equally mixed chips of them and analysed the unbleached pulps and the bleached pulps respectively. As the results, by the sulphate or kraft method from Quercus acta Thunb., Distylium racemosum Sieb. et Zucc., Trochodendron aralioides Sieb. et Zucc. woods have been made more than 200 kg pulps per cubic meter respectively, and by N.S.S.C. method the yields of each pulp are Quercus acta Thunb. 476 Kg, Distylium racemosum Sieb. et Zucc. 465 kg, mixed chips 412 kg, Trochodendron aralioides Sieb. et Zucc. 385 kg, Shiia Sieboldi Makino. 318 kg per cubic meter wood, and by the bleaching N.S.S.C.P. of them have more chlorines been consumed than by the bleaching of K.P., then the bleaching of them is not desirable. The manufacturing of K.P. and N.S.S.C.P. with equaliy mixed chips of four kinds of the deciduous wood is able to be done easily and the sulphate method is more desirable.Ⅰ緒言 Ⅱ試料 Ⅲ実験 1試料材木の分析 Ⅳ実験 2硫酸塩法蒸解 Ⅴ実験 3中性亜硫酸セミケミカル法蒸解 Ⅵ実験 4漂白実験 Ⅶ総括 参考文献 Resume
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