胸部食道癌における深達度・リンパ節転移状況よりみた3領域リンパ節郭清の意義

概要

論文の詳細を見る
食道切除・3領域リンパ節郭清施行胸部食道癌225例を対象に深達度・リンパ節転移状況別の予後よりリンパ節郭清の意義について検討した. その結果, T1b以上では広い範囲の郭清か必要であるが, Ut例ではNo.7・8・9リンパ節, Lt例では頸部よりの郭清は手控えうると思われた. 深達度よりも転移リンパ節個数が予後と関わっていた. 転移状況から予後をみると, T4例に対する根治的切除は転移リンパ節の少ない例に限られる. 反回神経周囲リンパ節の転移頻度は高く, 占居部位に関わらす頸胸境界部の徹底した連続郭清の意義は高い. 頸部より郭清の必要なリンパ節, No.7・8・9リンパ節転移例はlymphatic disseminationの状態にあり, 郭清の効果は期待しがたい. しかしこれらリンパ節への転移診断が術前には困難な現況より, 明らかな転移例を除いて, 郭清のfree surgical marginをえるため, 正確なstagingに基づいた合併療法の施行のためにもこれらリンパ節の郭清意義はあると考える.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1999-10-01