十二指腸後壁潰瘍穿孔による後腹膜膿瘍の1治験例
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概要
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患者は15歳の男性.家族歴に十二指腸潰瘍あり.2年前より多発性胃十二指腸潰瘍および幽門部狭窄の治療中であったが,嘔吐,右側腹部痛のため当科初診.急性虫垂炎と診断し,虫垂切除術施行.術後,発熱,幽門部閉塞のため再開腹し,十二指腸後壁潰瘍穿孔による後腹膜膿瘍(以下,本症と略記)を認めた.幽門側胃切除術とBillroth II法による再建術,およびドレナージを施行したが,十二指腸球部は瘢痕化が著明で,潰瘍穿孔部を切除しえなかった.術後,潰瘍穿孔部閉鎖を期待し血液凝固第XIII因子製剤を使用した.本症の報告は少なく,過去30年間に自験例を含め17例(本邦2例,欧米15例)であった.それらのうち術前に潰瘍の既往を認めたものは7例(41.2%)に過ぎず,術前診断がなされたのは3例(17.6%)のみであり,約半数が死亡していた.他の原因による後腹膜膿瘍と異なり,本症は消化液が後腹膜腔に流入するため,本症の見落としおよび治療の遅れは致命的となる.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1994-08-01
著者
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