胃全摘術後長期経過例における骨代謝障害,消化吸収障害ならびに貧血に関する検討
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概要
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著者は胃全摘術後長期経過例(L群)の病態を解明する目的で,術後の骨代謝障害,消化吸収障害および貧血について,短期経過例(S群)を対照として比較検討した.対象はL群が31例,S群が21例の計52例で,術式の内訳は空腸間置術が41例,Roux-en-Y吻合術が11例である.骨代謝障害の発生頻度はS群57.1%,L群42.9%と両群間に有意差は認められず,術式別,年齢別にみても両群間に差はみられなかった.蛋白と脂肪の消化吸収はL群が不良で,ことにRoux-en-Y吻合術で吸収不良例が多かった.貧血はS群44.4%,L群55.6%に認められ,鉄欠乏性貧血は術後早期より,巨赤芽球性貧血は術後長期経過後に認められる傾向にあった.以上の成績きより,胃全摘術後長期例に対しては定期的な食事指導と貧血のチェックが必要であるとともに,duodenal bypassとなる術式を可能なかぎり避けるべきであることが明らかにされた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1991-03-01
著者
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