消化性潰瘍の成因と外科的治療 : 胃液分泌,血清ガストリン値および背景胃粘膜の面からの検討 (<特集>第13回日消外総会シンポ1 胃潰瘍(急性ならびに慢性)の成因と外科治療)

概要

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消化性潰瘍の成因に関しては,従来から種々の研究がなされてきたが,その本態は未だに明らかになされていない.しかし,病因としては大まかに攻撃因子の増強および防禦因子の減弱の2つの要因があげられ,それぞれに表1に示すごとき因子が考えられる.そして,胃潰瘍では主に防禦因子の低下が,十二指腸潰瘍では攻撃因子の増強がその主因をなすものと思われる.このような観点から消化性潰瘍168例(胃潰瘍68例,十二指腸瘍20例,十二指腸潰瘍80例)および吻合部潰瘍24例を対象として,胃酸分泌におけるfeed back機構の点を考慮にいれて,胃液酸度と血清ガストリン値との両面から,それら相互の関連性と潰瘍の治癒性,吻合部潰瘍の発生,外科的治療の術前・術後の変動などについて検索し,さらに,Mann-Williamson実験潰瘍(犬)についても同様の検討を行った.また,背景胃粘膜と酸分泌との関係,防禦因子の面では一応胃粘膜の形態的変化,ことに胃底腺の萎縮性変化および腸上皮化生をとりあげてみた.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1979-07-01