Diverting stomaとしての回腸人工肛門と横行結腸人工肛門の比較検討

概要

論文の詳細を見る
遠位大腸に対する回腸人工肛門のdiverting stomaとしての有用性を明らかにするため横行結腸人工肛門と比較検討した.方法:1995年から2000年にdiverting stoma閉鎖術を施行した43例(男性31例, 女性12例, 平均年齢57.9歳, 回腸人工肛門25例, 横行結腸人工肛門18例)を対象とした.人工肛門合併症(皮膚びらん・傍ストーマヘルニア・脱出・陥没), 閉鎖手術時間, 術中出血量, 術後入院期間, 術後合併症(創感染・腸閉塞・縫合不全・肺炎)について検討した.観察期間の中央値は41か月であった.結果:年齢, 性差, 原疾患, 適応, 閉鎖までの期間, 人工肛門による合併症, 手術時間は両群間に有意差を認めなかった.術後腸閉塞は横行結腸人工肛門群に高頻度に認められ(回腸人工肛門:1例, 横行結腸人工肛門:6例, P=0.031), 術後入院期間は回腸人工肛門群の方が短かった(回腸人工肛門:7.6±2.5日, 横行結腸人工肛門:10.6±5.0日, P=0.017).考察:横行結腸人工肛門群より回腸人工肛門群で, 人工肛門閉鎖後の腸閉塞は有意に少なく, 術後入院期間も短かったことより, 遠位大腸に対するdiverting stomaには回腸人工肛門が適している可能性が示唆された.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
2001-09-01