実験的胆嚢炎による十二指腸乳頭炎と胆管炎の相関についての病理組織学的研究
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概要
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雑種成犬の胆嚢内に E. coli を注入して急性細菌性胆嚢炎を作製し, この炎症が肝胆道系に波及する状態を病理組織学的に研究した. とくに総胆管が十二指腸漿膜から壁内を貫通し十二指腸内腔に開口するまでの胆管抹消の部位を乳頭部として, さらに乳頭部を, 筋層貫通部胆管, 膨大部, 開口部と分け, その炎症の推移を経時的に観察し, 胆管系各部位の炎症との関連性について検討した. 胆嚢および胆管は胆嚢炎発生3日以内の初期には急性炎症所見を示し, 1週目を経過する頃から急性炎症細胞と慢性炎症細胞の混在する炎症像を呈した. 一般に乳頭開口部を除き, 各部位とも類似の炎症像を示し, 炎症が長期に至ると, 粘膜下層の線維化の出現とその増強が著名となった. とくに総胆管では粘膜上皮は浮腫, 細胞浸潤が主体であるが粘膜下層から外膜外にかけての線維化が著名で, いわゆる peroiductal fibrosis の像を認めた. 乳頭開口部は常に浮腫を主体とした急性炎症像を示しその肝臓側の十二指腸筋層貫通部胆管は炎症が長期になるほど粘膜下の線維化が増強した. これらの病変は容易に胆汁の通過障害を惹起し, 胆管は拡張と壁肥厚を伴いつつ, 急性並びに慢性炎症がさらに増悪して不可逆性変化に陥るものと推定された.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1981-02-01
著者
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