肝門部全血行遮断時のカテーテルバイパス法による肝血行確保に関する実験的研究
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概要
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肝十二指腸間膜完全遮断下の肝血行確保に関する基礎研究として,(1)肝門部全血行遮断群,(2)腸骨動脈・門脈バイパスと門脈・下大静脈バイパスの二重バイパス群および,(3)腸側門脈-肝側門脈バイパス群の3群について成犬を用い120分間実験的に検討した.(1)群では,遮断後早期に肝ATP量,energy charge(EC)の低下が出現した.(2)群では,肝に流入する血流量(CBF),肝組織血流量(HTF),肝組織酸素分圧(Pto_2),肝ATP量,ECはバイパス前に比べ良好に保たれた.(3)群では,肝ATP量,ECの低下はみられなかったが,CBF,HTF,Pto_2は低下した.バイパス施行中の循環動態およびバイパス120分後の肝組織像は,いずれのバイパス法においても著変はみられなかった.以上より肝十二指腸間膜完全遮断時における肝血行確保のためのバイパス循環法としては,二重バイパス法が優れていると考えられ,腸側門脈-肝側門脈バイパス法では肝循環血流量の確保に不安があった.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1991-07-01
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