子宮広間膜異常裂孔ヘルニア (pouch type) の1例
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概要
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子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアは著者らの集計では本邦で13例と, 極めてまれである. 最近我々は小腸捻転を伴った本疾患の pouch type の1例を経験したので報告する. 症例は68歳の女性, 腹痛, 嘔吐を主訴に入院した. 保存的に経過観察していたが, 第4病日, 腹痛増強し, 腹部全体に筋性防御を示した. ショック状態に陥り, 絞扼性イレウスと診断し, 同日, 緊急手術を行った. 骨盤腔は, 子宮広間膜に包嚢された小児頭大の腫瘤によって占拠されていた. 子宮広間膜後葉に径 5cm の異常裂孔を認め, 約 2m の回腸が嵌入し盲嚢を形成していた. 嵌入した回腸は, 約 70cm にわたり強い血行障害を伴い, 小腸捻転を引き起こしていた. これより子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの pouch type と診断した. 嵌入腸間切除と左付属器合併切除を施行した. 術後下痢を認めるも軽快し, 術後27日目に退院となった.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1994-11-01