膵頭部癌の浸潤形式からみた上腸間膜動脈周囲郭清の工夫(<特集>第43回日消外会総会シンポ1(2)・再発,浸潤形式からみた消化器癌に対する治療の工夫-肝胆膵)

概要

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膵頭部領域癌根治手術にあたり上腸間膜動脈神経叢を温存した腸間膜根部リンパ節郭清が可能か否かに関する検討を行った.上腸間膜動脈からリンパ節までの距離は5.5±2.1mmで,外膜より3mm以内の同心円内に存在するリンパ節は142s(slice)中9s(6.3%)にすぎなかった.一方,上腸間膜動脈根部背側で大動脈との間に挟まれた部位や,上腸間膜動脈から動脈が分岐する部位では,神経叢内にもリンパ節は存在していた.以上のようにリンパ節の大部分は外側に分布しているので,神経叢温存下リンパ節郭清は概ね可能であると考えられた.また膵頭部膵管癌切除25例の検討では5mm以下の小リンパ節に転移を多数認めた.さらにリンパ節転移優位な腫瘍と神経叢浸潤優位な腫瘍が存在し,神経浸潤とリンパ管浸潤とは異なった進展様式をとることが示唆された.浸潤性膵管癌では膵頭後領域浸潤例の72.2%の神経叢浸潤を認めたが,粘液産生膵癌や嚢胞腺癌には認めなかった.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1994-10-01