肝切除に伴う肝再生に関与する因子の解析 : 特に肝実質組織との関連について
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概要
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肝切除症例70例を対象とし,術前および術後3〜4週のcomputed tomographyより算出した肝切除後の残肝再生(残肝増大率)と非腫瘍部肝の組織像(線維化,炎症細胞浸潤,piecemeal necrosisの程度)との関連を検討した.線維化程度別に残肝増大率は線維化(-)群:1.59±0.45(Mean±SD)倍,軽度群;1.41±0.35倍,中等度群;1.16±0.20倍,高度群;1.08±0.10倍の順に減少した.肝切除率と残肝増大率は,線維化(-)群,軽度群でともに指数回帰に有意の相関を示した(r=0.823,0.840,ともにp<0.001)が,軽度群の回帰係数は(-)群より減少し,以下,中等度群,高度群の順に回帰係数はさらに減少した.また,炎症細胞浸潤,piecemeal necrosisに関しては,それぞれの程度別の残肝増大率には線維化の程度別にみられた一定した傾向は認めなかった.肝切除後の残肝再生(残肝増大率)は非腫瘍部肝の線維化の程度により影響される可能性があると考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1993-03-01
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