膀胱瘻を形成した盲腸粘液癌の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は86歳の女性.発熱と尿潜血を認め,右下腹部に硬い腫瘤が触知された.腹部造影CT,MRI検査にて,回盲部から骨盤内にかけて径13cmの腫瘤を認め,膀胱を圧排していた.大腸内視鏡検査にて盲腸に隆起性病変を認め,生検で高分化型腺癌と診断されたため手術を施行した.腫瘍は膀胱に強く浸潤しており,結腸右半切除,および膀胱部分切除を行った.盲腸を主座とした12.0×11.5cmの2型の腫瘍であり,盲腸の潰瘍底から膀胱に瘻孔を形成していた.病理組織像は粘液癌で,膀胱の筋層まで浸潤していたが,瘻孔壁は炎症性肉芽により形成されており,腫瘍細胞の浸潤は認められなかった.膀胱瘻を形成する大腸癌は主にS状結腸癌ないしは直腸癌であり,自験例のように盲腸癌での瘻孔形成はきわめてまれである.膀胱壁が,膨張性に発育した腫瘍の粘液塊に強く圧排されたため壊死に陥り,盲腸膀胱瘻を形成したと考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2002-11-25