岩盤峡谷におけるジョイントと地形発達(<特集>地形プロセスにおけるロックコントロール)
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概要
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岩盤峡谷に関する従来の研究は,ジョイントの分布が峡谷の形状の発達進化に影響を与えるであろうことを示唆してきた.本研究は,Silver Plume花崗岩体におけるCache la Poudre河川システムの二つの峡谷を対象に,急勾配に傾斜したジョイントの間隔を計測した.広い河区と狭い河区の両方における複数の場所において,垂直な峡谷の谷壁で河川に直交するジョイントの間隔が計測された.各々の河区のタイプについてジョイント間隔の分布,平均値,中央値などが統計学的に比較された.一つの峡谷では広い河区と狭い河区の間の差異は統計学的に有意であった.しかし他の峡谷では狭い河区でジョイント間隔が広く,広い河区でジョイント間隔が狭いという関係がみられたものの,両者の差異は有意ではなかった.すべての野外データと2つのサイトの直線性に関するフラクタル分析は,これらの差異が実在することを示唆している.これらの結果は,ジョイント分布が峡谷の発達進化に影響を与えていることを示唆し,河区のタイプが少なくとも部分的にはジョイント間隔に依存していることを示唆している.この差異は,ジョイント間隔が密なところで風化や剥ぎ取り,削磨,落石などが増加することによってもたらされるのであろう.
- 日本地形学連合の論文
- 2002-03-25